ハクビシンは近年、住宅地でも頻繁に目撃されるようになってきました。ハクビシンは有害鳥獣に指定されており、農作物や住環境に深刻な被害をもたらすため、駆除や予防策が重要です。今回は、自分でも駆除できる?ハクビシンの生態や自宅周辺での対策について紹介します。
ハクビシンとは?
ハクビシンは、額から鼻にかけて白い線が特徴的な食肉目ジャコウネコ科の動物です。
特長としては、雑食性で何でも食べ、繁殖力が非常に強く、夜行性で薄暗い場所を好みます。
繁殖期は、1年に1回、2~3頭の子供を出産し、生後10ヶ月ほどで繁殖可能になるため、日本でも個体数が急激に増加している状況です。
また、ハクビシンは非常に多様なものを食べるため、農作物だけでなく、住宅内にある生ゴミやペットのエサ、小動物や虫なども捕食し食べてしまいます。
ハクビシンの被害
ハクビシンが棲み付くことで、以下のような被害が発生することがあります。
家屋の汚染
ハクビシンが屋根裏などに棲み付くと、異音や強いアンモニア臭が発生することがあります。ハクビシンは「ため糞」と呼ばれる習性を持ち、1か所に大量の糞尿をすることがあり、それが原因で天井にシミができたり、腐食が進み、家屋への深刻なダメージをあたえます。
人体への影響
ハクビシンが媒介する病原菌やウイルスであったり、ハクビシンに寄生する害虫や寄生虫によって、喘息やアレルギー、皮膚病など、さまざまな症状を引き起こすことがあります。
また、ハクビシンは人間を攻撃することは少ないのですが、繁殖期や追い詰められた場合には、引っ掻いたり噛み付く可能性がありますので、むやみに近づかない事も大切です。
農作物の被害
ハクビシンは、畑や家庭菜園の農作物を食べてしまうため、農家や園芸を楽しんでいる家庭にとっては深刻な問題になります。農作物被害は年間で3億6千万円ほど出ており、頭を悩ませる存在なのです。
ハクビシンの駆除方法
ハクビシンの駆除には、自治体や役所への届出が必要です。鳥獣保護管理法で守られているため、許可なしに駆除・捕獲することはできません。駆除の手続きは以下の流れで行います。
1.役所などで駆除許可を取得する
役所などに「鳥獣捕獲許可等申請書」を提出し、捕獲等の方法を明らかにした図面なども作成します。手続きには数日かかる場合があるため、早めの申請が必要です。
2.罠を設置する
ハクビシンを捕獲するための罠を設置します。罠には「吊り餌式」「踏み板式」「くくり罠」があり、設置場所や費用に応じて選ぶことができます。費用は約5,000円から3万円ほどで、自治体によっては罠の貸し出しも行っています。ただし、罠を設置する場合は、狩猟免許の取得が必要となるケースがありますので、自治体や役所で確認しましょう。
3.捕獲したハクビシンの処分
捕獲したハクビシンは、自治体や清掃センターで処分するのが一般的です。捕獲者自身が処分する場合もありますが、手間や衛生面での問題が生じることが多いので、事前に確認しておくことが重要です。
4.消毒と侵入経路の封鎖
ハクビシンの侵入経路を封鎖し、糞尿をしっかりと清掃、消毒することが必要です。これを怠ると、再びハクビシンが棲み付く可能性が高くなります。特に、糞尿が残っていると病原菌やノミやダニが大量発生する恐れがあるため、徹底した掃除・消毒作業が不可欠です。
自分でできるハクビシン対策
届出が必要な捕獲駆除とは異なり、ハクビシンを追い出したり、忌避したりすることは自分でも行うことができます。以下のような方法があります。
市販の忌避剤や超音波装置を使用する
ハクビシンはニンニクやハッカ、唐辛子などの強い匂いを嫌うため、これらの成分を含む忌避剤であったり、超音波装置などを侵入経路や棲み付いた場所に設置して、追い出すことができます。
家庭の周りを清掃する
ゴミや農作物の残りがハクビシンを引き寄せるため、周囲をきれいに保つことが予防策として有効です。ゴミ箱は蓋付きのものを使用したり、ハクビシンの被害に遭いやすい家庭菜園はネットなどで保護するなどして対策を講じなければなりません。
侵入経路の封鎖
ハクビシンの侵入を防ぐためには、通気口や換気扇、屋根に向かう枝など、侵入可能な経路を徹底的に封鎖したり、剪定することが重要です。ハクビシンは9cm程度の隙間があれば侵入できるため、細かいチェックが必要です。
駆除専門業者への依頼
ハクビシンの駆除は自分でも行えますが、労力や危険を伴うことが多いため、確実な駆除を行うには駆除専門業者へ依頼するのが最も安全です。
駆除専門業者に依頼する場合、条件によって費用は異なりますが、駆除・捕獲に処分、消毒まで一貫して行ってくれます。業者に依頼することで、再発防止策や建物の劣化対策も行えますので、ご自身での作業に不安を感じて、放置してしまうのであれば、プロに相談することをおすすめします。
まとめ
ハクビシンが自宅に棲み付くと、農作物や建物に被害をもたらすため、早めの対応が必要です。市販のハクビシン対策グッズは、駆除効果は限定的ですが、侵入防止には有効です。これらを活用して被害の拡大を防ぐことが大切となります。
ハクビシンを自分で駆除することもできますが、屋根裏などの清掃や捕獲には危険が伴います。確実な駆除を希望する場合は、プロの駆除専門業者に依頼するのが賢明です。